普段日本に住んで、日本語を使っている私たちが英語の単語や文法を覚えるのは簡単ではありません。何度も辞書を引いたり、単語帳を見たりして少しずつ覚えていくことになると思います。
しかしながら、ちょっとした工夫が記憶の助けになることがあります。
たとえば単純に単語とその意味を直接的に覚えるよりもその単語の歴史を知ったり、語源や文法の変遷などを知っていると、一度覚えた単語などの記憶は頭の中に定着しやすくなります。
今回は日本でもよく聞く身近な単語の意外に知られていない、名前が由来の言葉について解説していきます。
フーリガンの由来
19世紀末、ロンドンのサウスワーク地区に住んでいたアイルランド人一家の名が今日、ヨーロッパなどでお騒がせしている暴徒集団「フーリガン」の由来です。
ならず者一家として悪名がとどろいた「Houlihan」はその後、「fooligan」と少しつづりを変えて、文字通り「ならず者」を意味する一般名詞となりました。
しかし、今日では、もっぱらサッカーの国際試合などで熱狂して暴徒と化す集団を指しています。
人名が固有のものでなくなり、一般的な言葉として独り歩きする現象はよくあるそうで、世界中の言語に共通する現象のようです。
調べてみると、日本語でも「きんぴらごぼう(←坂田金平)」、「やまかん(←軍司の山本勘助)」など多くの例があるようです。
あの有名なサラダも料理人の名前から
「Caesar Salad(シーザーサラダ)」はメキシコの調理人「Caesar Gardini」の名から取ったものです。
予定していたより多くの客が来て、サラダの材料が不足したので、ゆで卵、チーズ、クルトンなどを手当たり次第にぶち込んだら、これが意外に受けた、と言う逸話があるそうです。
「ダウ平均株価」の「ダウ」も名前から
「ダウ平均株価」は正式には「Dow-Jones average」ですが、アメリカのダウ=ジョーンズ社の創始者「Charles H. Dow」と「Edward D. Jones」の名前をミックスしたものです。
あの、恐ろしい言葉も人名から
古くは、フランス革命時代に盛んに使われたという断頭台「ギロチン」があります。その装置の導入を議会に提案した 「Dr.J.I.Guillotin」の名前に由来します。
彼の死後、Guillotin家は正式に改名したそうです。その他にも、「リンチ」も人名由来だそうで、アメリカ、ヴァージニア州の治安判事「Captain W. Lynch」の名前にちなむそうです。
「マリファナ」はスペイン系の女性名「Maria Juana(マリア・ファナ)」からとったという説があります。「leotard(レオタード)」はフランス人曲芸師の「Jules Leotard」の考案による運動着です。
「bloomers(ブルマー)」はこの体操着を提唱した「Mrs.Amelia Bloomer」の姓を複数形にしたものです。
意外なところでは、「男・奴」を意味する「guy」もあります。
1605年に起こったGun Powder Plot(火薬陰謀事件)の首謀者「Guy Fawkes」の「guy」が「奇怪な風体の男」とか「みすぼらしい身なりをした男」として一般化し、これがアメリカに渡って、現在の意味に変わりました。
西洋の有名な怪物の名前も
イギリスの「Sandwich 伯爵」の名前は現在の「サンドイッチ」と言う食べ物の語源と言うのは有名です。
そして、ドラキュラ伯爵は小説中の人物ですが、「ドラキュラ」と言えばすぐに「吸血鬼」というイメージが出てきますが、「フランケンシュタイン」と聞いてあなたは何を思い浮かべますか?
「え~、額にきずがあって、頭の横に太い釘が刺さっていて~」とほとんどの方はそのような想像をすると思いますが、実はフランケンシュタインはMary Shelleyの小説中でその怪物を作った男爵(Baron Frankenstein)の名前なんです。
当の怪物には特に名前はついていないそうで、意外ですね。ですが、フランケンシュタインを怪物の名前と取り違える傾向は世界共通だそうです。
今回は以上になります。