日本に住んでいると、日常的に見たり聞いたりする英語のような日本語があります。
英語と同じような意味を持つ単語があったり、まったく別の意味で使われている言葉があったり、2つの単語を合わせて作られた造語なんてものもあります。
このような英語を語源とした和製英語は時に私たちが英語を使う時に間違った解釈をさせてしまうことがあります。
今回は日本でもよく聞く身近な単語「free」について、私たちが勘違いしやすい場面を解説していきます。
smoke-free roomは「喫煙室」ではなく「禁煙室」
最近よく聞くバリアフリー(barrier-free)は何であるかが分かっているのに、いざ「smoke-free」といわれると「自由にタバコが吸える」と勘違いする日本人が多くいます。私もそうでした。
「barrier-free」は「障害物が無い」から「障害者や高齢者に使いやすく工夫した施設」のことですが、「smoke-free」も全く同様の理屈から「タバコのけむりが無い」と理解しなければいけません。
日本語的な感覚で「free」をとらえると間違った解釈をすることになります。
「free」の原義はあくまでも「無い」で、「自由の」の意味は「拘束が無い」から派生した一用法にすぎません。使い方にはくれぐれも気を付けていきましょう。
「フリー」の使い方には気を付けて
今日、和製カタカナ英語として使われている「フリー」はほとんどが誤用ですから、英語を母国語とする人たちにはそのままぶつけないようにしてください。
例えば、「フリーター」なんて言葉を相手に言っても全く通じません。
そもそも外国人に「フリーター」という概念はありませんし、語尾の「ター」が実はアルバイターから来ているなんて知る由もありません。訳してもせいぜい「part-time jobber」くらいにしか訳せないわけです。
それから私たちがよく使う「フリーダイヤル」も同じ発想に基づいて作られた日本独自の造語です。
「‟無料の”電話サービス」のつもりで名前をつけたのでしょうが、ここでも発想にズレが生じてしまっています。
英語には、「toll-free」とい表現があります。「Dial this toll-free number for more detailed information.」(さらに詳しいことを知りたい方はこの番号に電話して下さい。無料)というふうに使われます。
少し脱線しますが、「フリーセックス」などという言葉も気を付けたほうがいいです。
社会的、道徳的慣習にとらわれない、という気持ちの部分はアメリカ人などにはある程度理解されると思いますが、いきなり「セックス」という言葉は露骨すぎます。せめて「free love」くらいにとどめておくのが無難です。
それから「1日フリー乗車券(one day free ticket)」は良くない例です。
公共の交通機関は外国人も多く利用するので、実害が出てしまいます。
‛‛1日無料乗車券′’なら、みんな誰だって欲しいに決まっています。「無料乗車券」の意味の「free ticket」は野球のスラングで「四球」として使われています。
本来は1日乗車券は英語で「one day passenger ticket」や「one day ticket」等といいます。
「フリーマーケット」は「free」ではない
ここでちょっと考えてみましょう。「free-standing insert」とは何を意味する言葉か分かりますか?変な意味ではありません。
free-standingは「支えるものが無く自立している」という意味です。insertは「挿入する、差し込む」の名詞転用で「差し込み広告」です。
つまり、「新聞の本紙ではない、別に印刷された広告貢」のことです。
とかく「フリー」というカタカナは日本人にはいろいろな誤解の元になっているようです。
「蚤の市、がらくた市」のはずの「フリーマーケット(flea market)」が経済用語の「free market(自由市場)」と混同されるのもその一例です。
今回は以上になります。