学生時代は英語の成績は優秀だったのに、「話す」という段階になると苦しんでいる人が多くいます。大学で英文科を出たのに話せない!という方も、かなり多いのではないでしょうか。
英語が得意で、高い点数をとってきた。文法の知識も人並み以上にある。なのになぜ、話せない!と悩まれる方は多いと思います。
ここでは、英語を話せない人はこのような人、話せるようになるために捨てるべきことを解説していきます。
「文法はしっかり勉強した。なのに全然話すことができない」という方は、是非読んでいただき、話せる思考の基礎を作っていって下さい。
英語を話せない人はこんな人
「正解」至上主義
学生時代は英語の成績は優秀だったのに、「話す」という段階になると苦しんでいる人が多くいます。英語が得意で、いつも高い点数を取ってきたのになぜか話せない。なぜこのようなことになってしまうのでしょうか。
このような方にはある口癖があります。 それは、「これって、正しいですか?」。
そして、ちょっとでも「正解じゃないかもしれない」という疑念が浮かぶと、頭に浮かんでいる英語を絶対に口にしようとはしません。
「正解じゃなきゃいけない」、「完璧に正しい英語をしっかり組み立てるまで、相手に伝えられない」と思っています。
常に優秀で、「点数を取る」ということに長けているがゆえに、会話をするうえでも「正解をとりに」いってしまう。そこにあるのは「100点をとれる完璧な表現があるはず!」というものです。
しかし、残念ながらテストでいい点数を取るための「正解」と、英語を話してコミュニケーションをとるうえでの「正解」はまったく別物です。
テストでの「正解」の基準は、「100点をとれるミスのない英語かどうか」。しかし、英語でコミュニケーションをとるシーンでの「正解」の基準は、「相手に伝わったかどうか」。テストでの「正解」至上主義では、話せません。
TOEIC勉強オタク
私の知り合いで、TOEIC850点を持っている方がいます。しかしこの方は英語がほとんどしゃべられません。彼と英語の話をしていると、話の節々に「私は話せない。だから、これくらい話せる人です!というお墨付きが欲しい」という想いがちらついていました。
彼の問題点は、「他人からの評価に頼っている」というところではないでしょうか。
TOEICでどんなに高い点数をとっても、「自分の伝えたいことを伝える練習」をしなくては、なかなかスピーキングは上達しません。それなのに、自信がないからこそ、この「点数」にこだわり続けて、勉強をしてしまう。
「こんなに勉強してるのに・・・」
こういう負のループにはまっている方は多いと思います。
TOEICの点数を、ある程度までの目安にすることはとても有意義だとは思います。
ただ、それを「ゴール」にしない方が、うまくいくこともある。目標の点数をある程度達成したら、一度手放してみるのも、大事ではないでしょうか。
辞書がないとダメな人
英語を話すときに、必ず辞書や単語帳を片手に話している人。話の流れと、聞き手そっちのけで辞書にかぶりつき。単語を見つけたころには、何の話をしていたのかすら忘れてしまっています。
これは電子辞書でも同じ。コミュニケーションを完全に分断して、正しい単語を使うことだけに固執する。これでは当然、会話は成立しません。
例えば、「あれ?『仮の提案』って、何ていうんだろう・・・・?」
と、2つの単語が合わさった表現だったりすると、事態は更に悪化します。「仮」と「提案」を別々に調べる必要があり、時間はどんどん過ぎていきます。たまたま、調べた単語が辞書にのっていなかったら、どうなってしまうのでしょうか。辞書だけが頼みの綱だったにもかかわらず、これが機能しないことで、完全に思考が止まってしまいます。
「やっぱり、英語なんて話せないんだ・・・」と。
真面目な方にこのような経験のある方多いです。そして、その結果自信を無くしている方も。
辞書や単語帳なしで、いかにその場を乗り越えていくか。そのマインドが非常に大事です。
すぐに捨てるべきその信念
英語が話せたらかっこいい
「英語って、話せたらかっこいいじゃないですかぁ~」。
よく聞く言葉です。この「かっこよさ」は一体、どこから来るのでしょうか?どうして、英語を話せない多くの日本人は、英語に「かっこよさ」を感じるのでしょうか?
日本において、英語は「恐怖の象徴」です。やってもやっても使えるようにならないもの。自分の無能をみせつけられてしまう大きな壁のよう。それが英語に抱くイメージ。
だから、それを乗り越えた人たちは、みんな「かっこよく」映るのでしょう。
英語を学ぶうえで、「かっこよさ」を追求してしまうと、苦しいだけです。英語は「ツール」と割り切る。
周りの目から自分を解放してあげましょう。
間違えたらカッコ悪い
書店に行くと、「日本人がおかしな英語を話して笑われた」という類の本が多く置いてあります。こういった本は、エンターテインメントとしてはとても楽しいものですよね。
しかし、この本を読みながら、あなたはある不安を強くしてしまっています。
それは、「こんな間違え、しちゃったら恥ずかしいことなんだ」という不安。
間違い=恥
笑いものにされる→沈黙は金
という思考です。
これは気がつかない間に、あなたの心にブレーキをかけています。そして、英語を話す目的を見誤らせてしまっているのです。
ある雑誌で、英語を使いながら国際的に活躍していらっしゃる日本人の英語を採点するという特集が組まれていました。ネイティブの方が採点していたのですが、名だたる経営者たちの英語の点数は、もちろん全員満点ではありません。それでも十分グローバルで活躍し、伝えたいことは伝えられています。
「間違えたらカッコ悪い」と尻込みして100点を取れるようになるまで話さない!と決めている人と、間違ってもいい、それでも伝えようとし、そして活躍する人。
あなたはどちらになりたいですか?
「雰囲気」まで伝えないと!
日本語の持つ「ニュアンス」まで大事にしてしまった結果、英語に変換するときに、「そのまま」でないと納得がいかないという人がいます。
国が違う。文化が違う。となったら、どんなに言葉を尽くしても、「100%同じ見え方」になることは不可能です。
ニュアンスに固執するあまり何も言えず、相手にひとつもイメージを与えられなければ、一歩も前に進めません。
例えば、日本の文化の中ではよく聞く、「足を崩してください」、これを英語で伝えるならばどのような言葉にしますか。
「崩す」という言葉のニュアンスまで伝えようとすると、なかなか言葉は出てきません。ニュアンスまで伝えなくては!と固執してしまうと、表現が出てこないのです。
ここでの答えは例えば、
Please relax your legs.
(足をリラックスさせてください)
足を崩す→リラックス
の発想です。相手が思い描けるイメージの完璧さにこだわらず、自分の許容範囲を少し広げてみる。すると、コミュニケーションが驚くほど円滑になります。自分の目的を常に見定めて、「コミュニケーションをとっている」ということを意識してみてください。そういう柔軟さが、英語には必要だったりします。
100点の表現があるはず!
ある英語が優秀な方がアジア旅行に行って、タクシーの運転手さんに「日本人?」と聞かれたので、「どうしてわかったの?」と会話を続けようとしました。
彼が発した言葉は、「How do you distinguish between Japanese and Chinese?(日本人と中国人をどうやって区別するの?)」というもの。しっかりとした英語です。
しかし、タクシーの運転手さんは、「え?」と理解していない模様。どうやら、distinguish(区別する)という単語を知らないようでした。相手が第二外国語で英語を話す場合、これはよくあるケースです。
しかし、もし、彼もとっさにこの単語が出てこず「区別するってなんだっけ・・・?あ~!でてこない!」と止まってしまったとしたらどうでしょう?「正解」に固執するあまり、会話はできないまま。さらにやっとの思いでその単語を思い出したところで、タクシーの運転手さんには伝わりません。
「正解」を取りに行くクセがある方には気を付けていただきたいこと。
それは、「100点を取れる表現を言えたところで、伝わる可能性は100%ではない」ということ。
柔軟に「伝える」というところまで忍耐力を駆使する。100点かどうかにこだわるのは、「自分目線」。相手のことを考えて、待たせることなくどんどん伝えていくのが「相手目線」です。
「コミュニケーションをとっている」ということを常に意識して、100点をとりにいくことに時間をかけるのではなく、柔軟に伝えていくことを考えてみて下さい。
ちなみに、先ほどの彼はdistinguishがわからない運転手さんに向かって、「How do you know?(どうしてわかったの?)」と言い直したそうです。
最後にもう一度言いますが、完璧主義であることは、スピーキングにおいては何よりも遠回りなのです。
まとめ
・「正解」至上主義
・TOEIC勉強オタク
・辞書がないといけない
このような考えを持っているとなかなか話ができない、続きません。
・英語が話せたらかっこいい
・間違えたらカッコ悪い
・「雰囲気」まで伝えないと!
・100点の表現があるはず!
すぐに捨てるべき信念です。完璧主義をやめてとにかく「伝える」「コミュニケーションをとる」事に努めましょう。
今回は以上になります。