外国人と話をしていると、日本人の自分の感覚では「青」でも外国人の感覚では「green」と表現されることが度々あります。
これは日本人と外国人の色彩感覚の違いからくるようです。
今回は英語と日本語の色彩感覚の違いについて解説していきます。
日本語で「あお」は、green or blue?
日本語で「あお」というと、「青」を指す場合と「緑」を指す場合がありますが、英語では「blue」と「green」は、はっきりと区別されます。
「青い芝生」は「green grass」であり、「青い空」は「a blue sky」になります。
信号の場合などは「青になったら」とも「緑になったら」とも言われますが、英語では「when the traffic light turns green」と言い、「blue」ではありません。
ちなみに日本語で「青二才」は英語で「a green boy (youth)」になります。
「青」というと日本語では「青い空」の連想から、「明るさ」を想像しますが、英語の「blue」には「気がめいった、憂うつな」といった意味があります。
例えば、「feel blue」は「気がふさぐ」、「Blue Monday」は「憂うつな月曜日(楽しい週末のあと)」、「blues」は「ブルース(ジャズの一種で元来しいたげられた黒人達の暗い気持ちを歌う曲)」などです。
なお、「blue」には「わいせつ」な連想もあって、日本で言う「ピンク映画」は「a blue film」になります。
「green」から連想するものは、日本語の「緑」と同じく「新鮮さ」や「未熟さ」ですが、「green」にはこのほかにも「恐れ(fear)」や「ねたみ(jealousy)」などの連想もあり、
「a green eye」の「嫉妬のまなざし」という表現もあります。
色に対する英米人の連想
色に対する英米人の連想は以下のようになります。日本人の感覚と少し違いますね。
red | passion(情熱) anger(怒り)
danger(危険) revolution(革命) |
white | purity(純潔) innocence(潔白)
truth(真実) |
black | darkness(暗やみ) grief(悲哀)
despair(絶望) death(死) |
purple | justice(正義) royalty(王族) |
yellow | jealousy(嫉妬) cowardice(臆病) |
pink | health(健康) |
月=the moonは何色か?
昔の映画で「The Moon Is Blue」という題のアメリカ映画が日本へやってきた時、「月蒼くして」と訳されたそうです。
日本人は「月が青い」というと、当時流行っていた「青い月夜の浜辺には...」とか「月がとっても青いから遠回りして帰ろう」といった歌の文句にあるようにロマンティックな夜を連想すると思います。
だから日本人はこの映画を男女のロマンスを主題としたものと思って見に行ったところ、実際はドタバタの喜劇で驚いたなんてことがあったそうです。
英米人にとっては、月はふつう「silver」か「white」と映るのであり、月が「blue」とは考えられない。だから「once in a blue moon」と言えば「めったにない」という意味で、まずありえないことというニュアンスを持ちます。
また、「to say that the moon is blue」と言えば、「ばかげたことを言う」という意味になります。
したがって、この映画の題名「The Moon Is Blue」も「ばかげたこと、あり得ないこと」という意味を持ち、喜劇の題名として使われたのです。
今回は以上になります。