私たちがネイティブスピーカー達と英語で会話をする時に、日本人に特有の表現ミスがいくつかあるとよく指摘されます。
その中の1つが、本来の英語の意味とは似て非なるカタカナ英語や、ネイティブスピーカーにはまったく通じない和製英語を使うことで起きるミスです。
これは、日本人には理解しにくい、民族や文化的なところに関係していることも多く、私たち日本人にとって英語を理解するのに苦労する部分の1つでもあります。
今回は私たちが何気なく使ってしまいそうな本来の意味とは違ってしまう、カタカナ英語の間違った使い方について書いていきます。
薬をdrugというと危険!
アメリカでは、薬局のことを「drugstore」といいます。しかし、このdrugstoreという単語から、store(店)の部分を取り去って、drugとするとアメリカでもだいぶ響きが変わってくるので注意が必要です。
こうなると、ふつうの薬というニュアンスが薄れてきてしまうのです。
たとえば、薬品会社の営業の仕事をしている人が誰かに職業を聞かれて、「I sell drugs.(私はクスリを売っています)」と説明するのは、避けるべき言い方です。
この場合、アメリカ人には「俺は麻薬の売人なんだ」と聞こえてしまう可能性があるからです。
もちろん、「薬の販売をしている」という意味にも取れますが、響きとしては、どちらかと言うと「薬」よりも「麻薬、ヤク」という感じがしてしまうのです。
警官に職務質問されたときや空港での入国手続きなどで、このような誤解があると冗談ではすみません。この薬品会社の営業マンの方は、たとえば、
I sell medicine.
私は薬品を売っています。
I sell medical supplies.
私は医薬品を販売しています。
などと、自分の職業を説明したほうが安全でしょう。
ダイエットを勧めるつもりでshape upを使ってはいけない
日本では「シェープアップ」という言葉を聞くと、「やせるために行う運動」を思い浮かべます。
ですが、shape upという英語のフレーズは、そのような意味ではほとんど使われないことを知っている日本人はあまり多くないと思います。
英語でshape upといえば、ふつうは「節度を守ってきちんと振る舞う」という意味で受け取られるのです。ですから、
You should better shape up.
と言う英語で、「シェープアップしたほうがいいんじゃないの?」と言ったつもりでも、聞いているネイティブには、「もっとしっかりとした行動をしなさい!」というふうに聞こえてしまったりします。
どちらのフレーズもあまり人には言わないほうがいい表現ですが、もし言わなければいけないときには、間違いのないようにしたいものです。
「シェープアップしたほうがいいんじゃないの?」と英語で表現するには、
You should better get in shape.
といえば大丈夫です。「get in shape」で「体調を整える」、逆に「get out of shape」といえば「体調をくずす」という意味になります。
また、英語のこのふたつの表現は、「やせる」ことだけに言及する表現ではなく、あくまでも「体調をベストに保つ」ことを表現するものであることもついでに覚えておいて下さい。
「マンションに住んでいる」と言ったらうらやましがられる
住居に関するカタカナ英語の勘違いを紹介します。例えば、アメリカ人が「多くの日本人がマンションに住んでいる」と聞くと、きっとそのアメリカ人は驚愕するでしょう。
ちょっと前まで「ウサギ小屋」に住んでいると思っていた日本人が「マンション」に住んでいることなど想像だにできないからです。
実は「マンション」という言葉は、日本語化して意味が変わった英語のひとつなのです。
英語で「mansion」といった場合、豪華なビバリーヒルズにあるような「大邸宅、大豪邸」という意味になるのです。ですから、ネイティブの友人に、
I live in a mansion.
などと言ったら、とてつもない勘違いがおこる可能性があります。「大邸宅だと思っていた日本の友人の家に遊びに行ったら、実はただの集合住宅だった...」という話になってしまうかもしれません。
「(日本式の)マンションに住んでいる」ことを英語で伝えたいのなら、
I live in a condominium.
「ワンルームマンションに住んでいる」というのなら、
I live in a studio apartment.
I live in a one-room apartment.
などとすればいいと思います。
少し話は変わりますが、畑などにある「ビニールハウス」も和製英語です。これを使って、農家の人が英語で、
I have a vinyl house.
私はビニールハウスをもっています。
といった場合にもおかしな誤解が生まれます。「この人はビニールの家に住んでいるのか。かわいそうに」とネイティブの同情を買うことになるかもしれません。
「お買い得」でcheapを使うと危険!?
最近は低価格の衣料品店が多く、人気があります。「このセーター安いんですね」などと、値段が手ごろでうれしいことを定員に伝えようと、
This sweater is cheap.
などと言ったら、相手はあまりいい気持ちがしないに違いありません。
cheapといえば、「安い」という意味だとしか教わらなかったと思いますが、実際には「安い」というよりも、「安っぽい、安物の、ちゃちな」といったニュアンスだからです。
上記のセリフは、「このセーターは安物ですね」と店員の耳に聞こえていると考えたほうがいいでしょう。
「このセーターはお手頃ですね」といいたいのなら、「inexpensive(高価でない)」、「reasonable(手頃な価格の)」という単語を使い、
This sweater is inexpensive.
This is a reasonable price.
などとするのがいいでしょう。
今回は以上となります。