やさしい英語なので分かったつもりでいたけど、完全な誤解だった。だけど、どこが間違っていたのだろう…。 こんな経験はありませんか。
一見、簡単に見える単語でも実はいろいろな意味が隠されています。今回はそのような「多義語」について解説していきます。
pay 代償を払う
You have to pay the price.
「代金を払ってよ」と、店で注意されたわけではありません。必ずしも品物の代金とは限らないのです。たとえば、「銃を自由化した代償を払う」と言いたいとき。「pay the price」は、この「代償を払う」に相当する英語表現です。
You have to pay for it.
代償を払わなければいけない。
も同様の表現です。これに似たような動詞に「cost」があります。
It costs too much.
値段が高い。
から転じて、「代償がたかい」になります。
That doesn't pay.
割に合わない。
という言い方もあります。「それは値段相応分のものを払わない」とは、つまり、割に合わないということになります。
It will cost you thousands of dollars.
払えないほどの金額(ここでは何千ドル)を目的語にとれば、「とんでもないことになる」という意味です。costの目的語にyouを使うことに注意しましょう。
sell 売れる
さて、payの次は、sell(売る)を見てみましょう。
Violence sells.
「暴力が売る」とはなんのことだろう。目的語が無いから、何を売るんだろうか。sellに他動詞しかないと思っている方、自動詞もあることを忘れないでください。つまり、
「暴力は売れる」となります。
Violence sells well.
暴力ものはよく売れる。
これは、暴力シーンがあるテレビ番組や雑誌は視聴率や売り上げが高くなる、ということです。同様に、
Sex sells well.
とも使います。これが性的な場面を指しているのは言うまでもありません。wellは副詞ですね。
日本と同様、欧米でもテレビやゲームが与える子供への影響は、関心の的です。同じように、
This book sells well.
この本はよく売れる。
などとも使います。
ところで、「sell」の名詞形は、「sale」。
For sale
と看板が立っていると、家などの「売り出し中」、また、デパートだと、「販売品」ではなく、「セール品」の意味になります。
All tickets sold out.
チケット売り切れ。
outがつくと、「完売」という意味になります。
tell わからない
I can't tell.
誰もが知っている「tell」という動詞。「それは言えない」の意味だろうと思ったあなたは注意が必要かもしれません。別の表現を使うと、
I can't tell A from B.
AとBが区別できない。
I can't tell the difference.
違いが分からない。
などとも言います。ここではI can't tell.で「どちらかわからない」あるいは単に「わからない」という意味です。ほかにも、
You never know.
何が起こるかわからない。
God only knows.
神のみぞ知る。
Nobody knows.
誰も知らない。
などがあります。
I told you!
See,I told you!
だと、「言ったよ」と単なる事実を言っているだけではなくて、「ほら、言った通りだろ」と、自分の忠告を聞かなかった相手を戒めています。
このほか、話し言葉でよく使われる表現に、
I'm telling you.
いいかい。
Don't tell me.
まさか。
などがあります。
I don't want to do what I'm told to do.
人に言われたことは、やりたくない。
これは、「人の指図をうけないよ」という意味です。
tellの使い方でむずかしいのは「区別する」という概念です。区別するには、言い分けられることが前提となる、ということになります。
今回は以上になります。